人事や採用に疑問が湧いたら読むべき人事本3選

ビジネス書入門

ブラックボックス化しやすい人事・採用活動の裏側とは?

「なぜ給料が上がらないんだろう」
「なかなか昇給・昇格できない」
「書類選考が通らない」
「内定がなかなか出ない」


こういった人事や転職にまつわる悩みは尽きませんよね。
従業員、求職者側で書かれたノウハウ本やSNSアカウントはたくさんあります。
一方で、人事活動や採用活動の裏側というはあまり発信されていません。
発信されていたとしても個人や企業の独自性が強く、
どれが正しいのか、自分にとって有益なのかを見極めることはとても困難です。

それは、数値化しにくい人や組織を扱っているからに他なりませんが、
近年、体系的にまとめようとする活動や書籍が増えてきています

今日はその中から、厳選した3冊をご紹介します。

  • 図解 人材マネジメント入門 坪谷邦生
  • 採用学 服部泰宏
  • 人事の成り立ち 海老原嗣生・荻野進介

人事部や採用担当がどんな活動をしていて
どんなことを考えているのかを理解することで、
会社目線に立って、キャリアアップや転職活動を見直すことができます。

自己分析も重要ですが、相手をしっかりと学んでいきましょう。

1.図解 人材マネジメント入門 坪谷邦生 〜全体像を知る〜

『100のツボ』と題しているとおり、100のポイントを解説しています。気になるツボだけを「つまい食い」することができ、通して読むと構造的に人材マネジメントを把握することができます。

本文 3ページより

洗い出した抽象的な要件に優先順位をつけて絞り込みます。全てを兼ね備えた完璧な人間は存在しません。譲れない条件はどこなのか、企業は明確な意志を持っておく必要があります。

本文146ページより

賃金はどうやって上がるのでしょうか。図表025は賃金が上がる場合を網羅的に図式化したものです(下がる場合はこの逆です)。「個人の変化」が「人事評価」「等級/役職・役割」という企業の仕組みを介して賃金に反映されます。

本文68ページより

こちらはHR業界のリーディングカンパニーであるリクルート社で人事コンサルタントとして活動、ご自身も事業会社で人事マネジャーを経験した坪田邦夫さんが書かれた体系的な本です。

入門書という位置づけではありますが、網羅性が高く、通しで読むだけで概要は十分掴むことができます。

ただ、いきなり全てを読むのは難しいと思います。下記がおすすめのChapterです。

昇給や昇格など人事評価が気になる場合
Chapter2. 人事評価
Chapter3. 賃金・退職金(外的報酬)
Chapter5.等級

転職活動や就職活動中で採用が気になる場合
Chapter6.採用
Chapter7.異動・代謝
Chapter10.働く人

「なぜそうなっているのか?」「人事としてどうすればよいのか?」を理解することができます。

多くの人事部が「こんなふうにしたいけど、できていない現状」を抱えています。
1社1社が異なる状況や事情を持っている中で、
「採用や人事評価において、なぜそのような判断をするのか。自分はどうすればよいのか」を洞察する力を養う一歩として、非常に有益な一冊です。

2.採用学 服部泰宏 〜企業側がどのように採用しているのか?〜

企業はなぜ人材を採用するのか―それには、少なくとも二つの理由がある。
一つ目は、企業が設定した目標と経営戦略を実現するために、ある時点で不足している、あるいは将来の時点で不足すると予想される人材を獲得する、というものだ。中途採用の場合には、既にある程度の職務能力を身に着けていることが前提とされ、採用時点で「何ができるか」ということが問われる。他方、新卒採用の場合には、採用時点でなんらかの職務能力を身に着けていることが期待しにくく、そのため「何ができるようになるのか」ということが問われる。

本文31ページより

神戸大学の服部泰宏先生の著作です。経営・行動科学の研究者で、科学的な観点から日本の採用活動を捉え直す「採用学」を提唱されています。

採用とはそもそもどういう活動であり、どのような課題があるのか、各企業がどんな取り組みをしているのかを知ることができます。

自社の採用活動はどうだろうという視点でぜひ読んでみてください。
その上で、転職活動中の場合、応募先企業はどのような採用活動をしているのか、
考察をすることで、どんな意図があるのか、どんな人材を求めているのかを仮説立てます。

人事側に視点に立つことで、自身の職務経歴書や面接内容をブラッシュアップすることができます。

3.人事の成り立ち 海老原嗣生・荻野進介 〜さらに深く知るために〜

 本書は、戦後から今日に至るまでを六つの時代に分け、各時代を彩った「日本型雇用に関連した名著」17冊を集めています。(中略)
名著17冊を一気に読み解けること、そして、雇用や経営、人事管理領域のカリスマである各著者の生の声を読み解けること、経済史的な時代背景が手っ取り早く分かること、などがウリといえるでしょう。

本文2ページより

徳なくば即ち黒
何もできない若者を採用するから、労働者には恩義が生まれる。
習熟に応じていくらでも職務の難易度を変えられる無限定雇用だから、働く人は、いつも坂道を上り続けてハアハア言うのが当たり前になる。
さらに、全員一律競争を人事管理の基本に置くから、同調圧力が強くなり、なかなか異論が言えない。
そして、その上昇レースで差がつくのが嫌だから、むやみに頑張りすぎる。

本文288ページより

 つまり、日本型は誰もが階段を上がれる「特別待遇」がある分、非正規、女性、高齢者が困り、そして、この階段があることをエサに、ブラック企業がはびこるという問題も生じる。
これはメリットのすべて裏返しなのです。だからデメリットを理解する上にも、メリットを熟知すべし。

本文334ページより

新卒一括採用、年功序列などいわゆる日本型雇用について深く学ぶことができる本です。
著者のお二人は、リクルートワークス研究所にて人事専門誌『Works』に携わっており、海老原嗣生さんは雇用ジャーナリストとして様々な媒体に寄稿も行っています。

本書は、戦後から現在に至るまでを6つの時代に分け、各時代の「日本型雇用に関連した名著」17冊を集めています。それぞれの刊行時の背景、要旨、著者への問いかけ、著者からの回答という構成でものすごく読み応えのある一冊となっています。

この本を読むことで、
「日本型雇用とは?」
「そのメリットとデメリットは?」
「なぜ、そうなっているの?」
といった疑問を解消することができます。

この知識をベースにすると、所属企業や応募先企業が、どのような人事戦略や人事施策を行っているのかを自分なりに分析することができるようになります。
日本型雇用バリバリの会社なのか、ブラック企業に近いのか、欧米型を志向しているのか、はたまたその何れでもないのか(Saasスタートアップなど)を見定め、自身のキャリア形成に役立ててください。

人事部の視点に立つ

 人事や採用に疑問が湧いたら読むべき3冊をご紹介しました。
これらの本を通して人事部側の視点に立つことができれば、
その企業において、どのようにしたら評価が得られるのかが把握できるようになります。

その上で、今の企業で望むキャリアが築けるのか、何をすればキャリアアップできるのか、
転職が吉とするならば、自身の強みや経験がどういった企業なら活かせるのか、
どういった企業なら納得感を持って働くことができるのか、
こういった問いを立ててみることをおすすめします。

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